謎のおっちゃん
国道沿いにあるコンビニに煙草を買う為に寄った。
最近のコンビニの駐車場はアイドリングストップも兼ねてか、前方から駐車するのが当たり前になってきている。
たまたま自分が停めた場所は灰皿が設置されている目の前で1人のおっちゃんが喫煙していた。
エンジンを切るか切らないかのタイミングで、そのおっちゃんが煙草を吸いながらこっちにやってきた。
なんだろう?と思い車から降りると
「アンタ、この辺の人?」と、どこかの方言交じりで話しかけられた。
なんでも九州からバイクで出てきたらしいのだがバイクで事故ってしまい、ヒッチハイクしながらここに辿り着いたらしい。
しばらく話を聞いていると、どうやらこの駐車場に立ち寄ったほぼ全員に声をかけているという事で、その応対の冷たさに関東人はなんちゃらと文句を言っていた。
目の前にいる私も漏れなく関東人なので、あまり良い気分ではなかった。
10分程話をした後に
「どこでもいいから次の目的地に連れて行ってくれ」と言われたが、待ち合わせ時間が既にギリギリだった為に断った。
その瞬間、さっきまで文句を言われていた関東人の仲間入りをしたのか、手でシッシッというジェスチャーをしたのである。
とりあえず何も言わずに目的の煙草を買って、すぐに車に乗ったのだが、ちょうど入れ違いで入ってきた車の兄ちゃんが今度はターゲットになっていた。
たぶん、あの感じだと乗せてくれる人はいない。
おっちゃんはその理由に気がつかないまま、夜になるまであそこで声をかけ続けるのかと思うと、なんだか同情したくなった。