megane30sai’s blog

オッサンのオッサンによるオッサンの為のブログ。

感謝

また今年もこの季節がやってきた。

人事異動だ。


出会いと別れを繰り返すのはせいぜい学生の頃くらいだろうと思っていたけど、大人になってからの方が頻度は多い。


このブログに果たして登場した事があったかどうか覚えていないのだが、上司の話を書いてみようと思う。


去年の今頃の話だ。


社内で唯一尊敬できる人が退職した。

その人は私の直属の上司だった。


良い意味で上司っぽくないなと思った。


誰に対しても柔らかく、だけど仕事での言葉には重みがあって、プライベートになるフランクで共通の趣味もあり、話していて飽きる事のない人だった。


「まぁ、なんとかなるでしょ」

って言われると本当になんとかなるんじゃないかと思わせてくれた。


迷いがなかった。

一人一人をよく見ていて、アドバイスが的確で非の打ち所がない人だった。


しかし会社はその人を低く評価していた。

不当な評価。

初めての人の事なのに腹が立った。


「俺みたいになっちゃいけないよ」

と、何度もその言葉を耳にした。


ある日、知らない番号から着信があった。

業務端末にかかってきたわけだし、100%仕事の関係者。


躊躇することもなく通話ボタンを押した。


「来月から新しく担当になる◯◯です。

新米ですが頑張りますので今日は前もってご挨拶をとお電話しました」


えっ…変わっちゃうの?

そう思ったのは俺だけではなかったはず。


新しい上司の物腰の柔らかさよりも、今の担当が変わるという現実が突き刺さった。


月が変わり、新しい担当さんを連れて挨拶に来た。


とても嫌だった。

受け入れたくなかった。

それなら俺も他の店に行きたいと思った。


しかし、「君は残らないとダメだよ」と止められてしまった。


こうして、新しい担当さんとの仕事がスタートした。


新米と自分で言っただけある。

力はあるが、営業力に関しては皆無。

なによりも前の担当と常に比較してしまい好きになれなかった。


そんな矢先に、スタッフも目まぐるしく入れ替えになり、もう自分が好きだった頃の店ではなくなっていた。


何故、みんなすぐにいなくなるのだろう?

何故、自分はここに残っているんだろう?


あんなになりたかった営業の道を、自ら辞退する始末。


目標が消えてしまうと人ってのは脆いもんだなと思った。


もちろん色々と考えてはいたが、根底では家と職場を往復するだけで、何も変わらない日々が続いていた。


いや、変わった事もあった。


前の担当の時は全くなかったが、身内から今のところ担当の愚痴が溢れるようになった。

そして自分もそのうちの1人だった。


月日は流れて年が明けた。

なんだかんだ今の体制に慣れてきて、スタッフも固まってきた。


そこで初めて今の担当をよく見てみようという余裕が出来た。


中間管理職というのは上からも下からも疎まれる地位だと思う。


上が追いかけたいものと、現場で出来る事に大きなズレがあって、彼は彼なりに戦っていたんだと思った。


なぜなら不器用なりにも今の同僚や自分の事を庇ってくれていたからだ。

 

なんだかんだ店の売り上げ自体も彼になってから大きく伸びた。


彼自身の販売力もそうだが、イベントを打ったり、自分でPOP作成して展開したり。


前の担当にはない彼の持ち味だ。

しかも客ウケが良いと言うか対応が非常に上手かった。


何度も隣で見てきたが、彼ほどお客様に対して丁寧な人はなかなかいない。


悪いところに目がいき過ぎて、良い部分を見ようとしなかったんだなと気がついた。


あれだけ愚痴を言っていた身内達も段々と彼のやり方に賛同するようになり、なんだか楽しそうに見える事が増えた。


そんな彼があと2日で異動が決まった。


他のスタッフから連絡が来た。

新しい担当を連れて店に来たけど変わって欲しくないと。


この状況、どこかで…?


正しく1年前と同じだった。


不器用なりにも彼の頑張りと、その人柄と言うのが気がつけば自分にとっても周りにとっても必要なものもなったいた。


自分の方が全然営業出来るわ。

と思っていたし、今も思っている。


でも、彼と同じように出来たかと考えた時に答えはNOだった。


そして自分の足りないものに気がつけた。

同時に彼のこと足りない部分も明確になった。


コレと言って指導されたわけでもないし、怒られた記憶もほとんどない。


ただ、彼が担当になってから自分自身の成長を感じる事が増えたのも事実。


今になって思うと彼で良かったのかもしれない。


1年という短い間ではあったけど、彼に向けて言いたいと思う。


ウチの店の担当になってくれてありがとう。

初めて担当したスタッフが自分で申し訳ない。


まだ会う機会はあるけれど、彼が自分を1年見てきてどう思ったかを聞いてみたいと思ったか。